2025年04月22日 リリース
株式会社鴻池組(本社 大阪市中央区 代表取締役社長 渡津弘己)は、富士興産株式会社(本社 東京都千代田区 代表取締役社長 川崎靖弘 )、日立建機日本株式会社(本社 埼玉県草加市 代表取締役 取締役社長 松村孝一)、株式会社建設技術研究所(本社 東京都中央区 代表取締役社長 西村達也)、一般社団法人リーゼル協会(大阪府守口市 代表理事 星子桜文)と協力し、軽油代替燃料である高純度バイオディーゼルを軽油に30%混合したB30燃料(Bio Diesel Fuel、以下B30燃料)を大型造成現場に建設機械の燃料として使用する実証実験を行いました。本実証実験では京都府船井郡京丹波町で施工中の株式会社京都環境保全公社(本社 京都市伏見区 代表取締役社長 井上敬治)の「瑞穂環境保全センター第三期保全計画埋立地工事」において油圧ショベルの燃料としてB30燃料を使用する実証実験を、2023年5月から2024年11月までの1年6か月にわたり実施しました。その結果、油圧ショベルのエンジンや配管、フィルターへの悪影響は確認されず、通常の軽油と同等の性能で正常に稼働することを確認しました。
また、本取り組みにより、軽油使用時と比較して約27 tのCO2排出量を削減することができました。
実証場所:瑞穂環境保全センター第三期保全計画埋立地工事(京都府船井郡京丹波町)
対象機械:油圧ショベル 日立建機製、ZX200(0.7 m3級)※1
使用燃料:リーゼル協会が提供する高純度バイオディーゼル燃料「ReESEL」(リーゼル)を軽油に30%混合した「B30燃料」
実証期間:2023年5月8日から2024年11月8日までの1年6か月間
実施内容:掘削土砂の積込み用の油圧ショベル1台にB30燃料を使用
・燃料ホースへの影響:バイオディーゼル燃料は脂肪酸メチルエステルが主成分で、軽油よりもゴムへの浸透性が高いとされるため燃料ホースの膨張や劣化の進行が懸念されました。軽油およびB30燃料を用いたゴム浸漬試験を実施した結果、膨張率に大きな変化はみられず、劣化の進行もほとんど認められませんでした。
・B30燃料のエンジンオイルへの混入:B30燃料を1か月間使用した油圧ショベルのエンジンオイルを分析した結果、動粘度に大きな差異は認められず、ガスクロマトグラフによる分析などの結果からもエンジンオイルへのB30燃料の混入は認められませんでした。
・燃料消費量:実測した結果、軽油使用時が約11.84 L/h、B30燃料使用時が約12.12 L/hと、大きな差は認められませんでした。
・CO2排出量の削減:1年6か月で37,408 LのB30燃料を使用しました。軽油およびB30燃料の燃料消費量ベースにおけるCO2削減量を算出すると、約27.13 tのCO2排出量※2を削減しました。また、軽油およびB30燃料の熱量ベースにおけるCO2削減量を試算した結果、約27.91 tのCO2排出量※3の削減となり、実証試験の算出結果とほぼ同様な結果となりました。
※1日立建機製品は軽油使用が保証対象ですが、今回は実証試験として協力頂くものです。
※2 環境省「燃料別の二酸化炭素排出量の例」を参照(軽油の二酸化炭素排出量:2.619 kg-CO2/L)
※3 国立研究開発法人 国立環境研究所 発行「日本国温室効果ガスインベントリ報告書2024年」を参照
鴻池組では、今回の実証実験の結果をもとに、建設機械へのバイオディーゼル燃料の本格的な導入を検討し、建設現場におけるさらなるCO2排出量の削減に取り組んでまいります。今後も環境負荷の低減を目指し、持続可能な建設業の実現に向けた技術開発と実証ならびに社会実装を推進してまいります。
![]() 使用した油圧ショベル(作業状況) |
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