2025年04月18日 リリース
株式会社鴻池組(本社 大阪市中央区、代表取締役社長 渡津弘己)は、愛知県内の建築現場において厚さ72mmの薄型CLT(Cross Laminated Timber)を用いた現場事務所の建設実証実験を行いました。
今回の実証実験は、大学、設計事務所、材料メーカーおよび建設会社より構成される共同研究グループが開発した薄型CLTに関する技術を用いた建物を、ユニット工法によって現場で実際に建設することにより、現場での組み立て施工性の確認および他の用途への展開を探ることを目的として実施しました。
※共同研究メンバー:株式会社鴻池組、材惣木材株式会社、椙山女学園大学、なかむら建設株式会社、日本福祉大学、株式会社三四五建築研究所、銘建工業株式会社、有限会社ライン工業 (計8法人、50音順)
1.薄型CLT(厚さ72mm)を用いた「7.2m×2.2m」のユニット2つを工場で製作し、トラックにて現場へ搬入。これにより現場での作業が簡略化された。
2.現地ではクレーンを用いて横方向に2つのユニットを連結することで現場事務所を完成させた。なお、基礎(山留め用鋼材)への建物の固定は、新たに開発した接合金物(特許出願中)を用いている。
建物を工場でユニット化して搬入したり、建物基礎に山留め用鋼材を用いたりしたことにより、現地での作業日数は4日でした。同様のCLT事務所を現地で組み立てた場合、約1か月を要することから大幅な短縮となりました。また、一般リース品の山留め鋼材が建物基礎に適用できること、および建物をこの基礎に固定する、新たに開発した接合金物の効果(アンカーボルトのズレ吸収)が確認できました。さらに、ユニット数を増やすことによる建物の大型化も連結作業を通して確認でき、現場職員からは「木の雰囲気が良く落ち着く空間である」という評価でした。
二酸化炭素の貯蔵・排出抑制に寄与する木材の利活用が推進されています。その中でもCLTは建築の構造材に適した材料であり、薄型CLTは通常のCLTに比べ軽量であることから運搬や組立作業において有利であり、木材使用量が抑えられるため材料コスト面でも有利と言えます。
今後、当該現場事務所建物を別の現場へ移設することによって、転用に関する実証実験を予定しています。また、今回は仮設建築である現場事務所への適用でしたが、ユニット数を増やすことで建物を大型化できることが確認されたことを受け、本設建物への適用を視野に具体的な検討を進めてまいります。