2024年09月02日 リリース
株式会社鴻池組(本社 大阪市中央区 代表取締役社長 渡津弘己)・株式会社中筋組(本社 出雲市 代表取締役社長 中筋豊通)・ヒロシ株式会社(本社 出雲市 代表取締役社長 扇子勇次)は島根県出雲市における大型焼却施設の煙突(高さ:57.5m)の解体工事「旧出雲エネルギーセンター解体工事」において、世界最大級の超大型解体重機を使用し、地上からの直接解体作業を実施した。本工事において安全性と作業効率の向上を図り、その有効性を確認した。
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一般的な煙突解体工事では、ワイヤーソーや大型カッターなどを用いて構造体を分割し、大型クレーンで吊り下ろす方法が広く採用されている。当該工事では、当初、煙突周囲に外部足場を設置し、その後、大型クレーンで圧砕機アタッチメントを揚重し、油圧操作により煙突外壁を圧砕解体する工法を計画した。しかし、この方法では猛暑の中で作業員が高層部への階段昇降を繰り返すことによる疲労の蓄積や、瓦礫の飛散による接触などの危険性が懸念され、さらに工期の長期化も予想された。
本工事におけるこれらの問題点を改善するために、オオノ開發株式会社(本社:愛媛県松山市 代表取締役会長 大野照旺)が所有する、最大作業高65mにも及ぶ世界最大級の超大型解体重機(SK3500D)を使用し、地上から直接破砕解体を行う工法を採用した。
この工法の採用に際しては、安全対策として、垂直養生ネットをL型とI型の2つに分割し、地上で組み立てた後、2台のクレーンでそれぞれを吊り上げ、飛散防止対策を講じた。また、作業中は常に風速を計測し、デジタル表示板による「見える化」を図りながら作業を進行させた。垂直養生に2台のクレーンを使用した理由は、強風による作業中断が発生した際に、迅速にネットを吊り下ろせるよう配慮したものである。
(風速管理値 『3m/s以下:作業継続。3m/sを超える:作業中断』で管理実施)
・外部足場を全く設置しない状態で解体作業が可能となった。
(作業員の昇降、及び足場への破砕ガラ落下・衝撃による変形等が発生しない。)
・当初の計画案では、圧砕機での圧砕解体部分しか作業状況・安全確認が出来なかったが、全体を通して目視確認が可能となった。
・従来工法では、2~3週間の工期を見込んでいたが、実質4日間で解体を完了できた。
・破砕ガラの飛散対策、及び市街地からの景観対策を目的に、地組した養生ネットを大型クレーンで吊り下げての解体作業であったがこの作業に従事する作業員は実質3名/日となり、労働力不足の解消と生産性向上につながる少人数での大規模解体作業が可能となった。