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特定廃棄物セメント固型化処理業務の完了

-放射性セシウムを含む122,640tの焼却飛灰等の処理-

2023年12月04日 リリース

株式会社鴻池組(本社 大阪市中央区 代表取締役社長 渡津弘己)を幹事会社とする鴻池・前田・西武・株木特定建設工事共同企業体は、このたび福島県双葉郡楢葉町内で行っていた特定廃棄物セメント固型化処理業務を完了しました。処理した特定廃棄物の総量は122,640tとなりました。

特定廃棄物セメント固型化処理業務

本業務は、東京電力福島第一原子力発電所の事故で大量に発生した放射性物質に汚染された特定廃棄物(対策地域内廃棄物、福島県内の指定廃棄物)および、双葉郡8市町村の住民帰還後の生活ごみのうち、放射性セシウムの溶出量が多い10万㏃/kg以下の焼却または溶融飛灰や、焼却飛灰と主灰の混合灰(以下「処理対象物」という。)を放射性物質汚染対処特措法に基づき、特定廃棄物埋立処分施設に安全に埋立処分できるように、セメント固型化を行ったものです。

業務概要

本業務は①調査設計、②処理施設の建築、③処理施設の運営、④施設の解体を行うものです。
令和51010日に、本施設での処理対象物の固型化処理を終了し、③処理施設の運営(セメント固型化処理)の業務が完了しました。

セメント固型化処理について

固型化処理施設では、受入、固型化処理、養生・脱枠、搬出という流れで処理を行いました。(図1、図2)

処理対象物

処理対象物には飛灰や、飛灰と主灰の混合灰がありました。飛灰は焼却施設の集塵装置で集めた「ばいじん」であり、粒子が細かく比較的処理がし易いと想定していましたが、長期保管により水分を吸収し、硬化したものや、重金属不溶化処理等の影響によりフレキシブルコンテナバック内で強く硬化したものがあり固型化処理施設での処理が難しい状態のものが含まれていました。

破砕・改質処理施設の増設

固型化処理施設に搬入した処理対象物のうち硬化あるいは高含水の処理対象物を対象に、破砕・改質処理を行い、セメント固型化処理を、より安定させるための前処理を行いました。(図3、4)

周辺住民との対話

地元住民と行政(楢葉町、福島県)、事業者(環境省)とともに協議会を定期的に開催しています。この中で、セメント固型化処理の進捗状況・周辺環境測定結果等の情報を定期的に報告し、地元の方の理解を得ながら事業を進めました。

施設見学

処理実施中は全国から見学者を受け入れ、処理の状況を見学いただいております。運転期間中の見学者は特定廃棄物埋立情報館リプルンふくしまを通じての見学者延べ274名になりました。

安全対策

・管理区域の設定

汚染管理区域及び非汚染管理区域の設定は、労働基準監督署等の担当行政機関の指導や、電離放射線障害防止規則及びダイオキシン類ばく露防止対策要綱に基づき行いました。管理区域への出入り(車両や作業員、物品等)は担当行政機関の指導や法令等に従い、厳格に管理しました。

また、高被ばくゾーンでは遠隔操作もしくは自動運転可能な設備を採用して無人化処理を行うとともに、有人区画については施設内に設置した16カ所のエリアモニタで空間線量率を常時モニタリングし、作業員の被ばく低減を行いました。

・作業環境の安全対策(写真1、写真2

管理区域の入退管理フローを定め、作業員の入退室、区域に応じた保護具の着用状況及び、退域時の汚染検査被ばく線量管理についても厳格に管理しました。期間中、作業員の被ばく量は最大で19mSvと基準値を大幅に下回りました。

・粉塵の建物外部への漏出・飛散防止(写真3、写真4

建屋は密閉構造で、内部は負圧化しました。粉塵の発生が予想される設備には局所集じん機により粉じんの飛散を抑制、さらにダブルフィルター方式の大型集じん機で、粉じんの飛散防止や負圧の維持などを行いました。さらに搬入・搬出口は二重扉とし、同時に開かないようにしました。

・周辺環境のモニタリング(写真5

定期的に、騒音や振動の監視、大気や地下水等の放射能等の濃度や空間線量率などの環境モニタリングを行いました。周辺への影響は認められませんでした。

セメント固型化物の管理・搬出(写真6

専用の収納容器に封入され養生期間を経たセメント固型化物は、容器表面線量率の測定結果などを記録した電子タグを取り付けて、特定廃棄物埋立処分施設への運搬事業者に情報の引き継ぎを行いました。

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