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「3Dサーフェス」を用いた法面変位計測システムの開発

2022年03月29日 リリース

株式会社鴻池組(大阪市中央区、代表取締役社長 渡津 弘己)と計測ネットサービス株式会社(東京都北区、代表取締役社長 佐藤 哲郎)は、三重県の造成工事現場において、「3Dサーフェス」(NETIS:KT-180118-A)を用いた法面変位計測システムを開発し、その有用性を確認しました。

■実証の背景 
従来、法面の面的な変位計測や平坦性計測を行うためにレーザースキャナを使用し、取得した点群データを専用ソフトで処理していましたが、不要な点群データの除去や多くの点群データの分析により、結果出力までに1~2日程度の作業時間を要していました。
今回、開発した3Dサーフェスを用いた法面変位計測システムは、スキャニング機能を搭載した測量機(トータルステーション)をタブレットPCで制御することで、比較的少ない点群データを現地において数十分程度で自動処理でき、結果を遅滞なく出力することが可能になりました。

 

本システムの特長

3Dサーフェスは、スキャニング機能を搭載したトータルステーション(Leica社製、MS60)であり、基準点を自動で視準して自己位置を調整し、自動追尾によるプリズム計測やノンプリズム計測、スキャニング機能による点群計測が可能な測量機です。また、3Dサーフェスを用いた法面変位計測システムは、3Dサーフェスで取得した点群データを、メッシュの大きさに応じて自動でTIN(不規則三角網)にモデル化して測定ポイントの標高を算出し、前回算出した標高との差分から面的な変位量や平坦性を等高線図等に表示できます。

法面変位計測システム概要図.jpg法面変位計測システム概要図

実証の概要

実証現場は、法面勾配1:1.5、面積120m2、軟岩地山の切土法面において、従来のレーザースキャナと3Dサーフェスの計測結果を比較し、点群密度、測定時間、分析時間および測定精度について検証を行いました。

実証現場の法面状況.jpg実証現場の法面状況

その結果、従来のレーザースキャナでは、点群密度1cm以下、測定時間約30分、分析時間約2日、測定精度±20mmでしたが、3Dサーフェスでは、点群密度10cm、測定時間約12分、分析時間約7分(メッシュ間隔20cmで解析)、測定精度±15mmとなり、測定時間および分析時間を大幅に短縮しながら、従来のレーザースキャナと同程度の測定精度が得られることを確認できました。

3Dサーフェス出力例(切土法面の凹凸状況).jpg

3Dサーフェス出力例(切土法面の凹凸状況)

今回、凹凸の多い軟岩の切土法面において、3Dサーフェスを用いた法面変位計測システムの実証を行うことで、比較的少ない点群データからTIN(不規則三角網)モデルを自動生成し標高を算出するロジックが、短時間で複雑な法面形状に対応できることを確認できました。これにより、面的な変位計測や平坦性計測を自動的に30分間隔で行うこともでき、斜面崩壊の予兆を早期に発見し、また法面整形機械の手待ち時間をなくすことも可能になります。

3Dサーフェス計測状況.jpg

3Dサーフェス計測状況

今後も鴻池組は、計測ネットサービス社の最新技術などを最大限に活用し、ここで得られた知見や技術情報などを同社とともに様々な取り組みに応用して、建設現場における省力化や生産性向上に努めてまいります。

 以 上

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