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CXPグラウト工法による液状化対策工事を実施

- 既設構造物直下のアルカリ性地盤への良好な適用性を確認 -

2021年08月23日 リリース

株式会社鴻池組(本社 大阪市、代表取締役社長 渡津弘己)と東亞合成株式会社(本社 東京都港区、代表取締役社長 髙村美己志)は、京都大学大学院地球環境学堂の勝見武教授の技術指導のもと、共同開発した薬液『CXP』とそれを用いた薬液注入工法(『CXPグラウト工法』)による液状化対策工事を行い、既設構造物直下のアルカリ性地盤への良好な適用性を確認しました。

CXPグラウト工法とは

CXPグラウト工法は、主剤のアクリル酸マグネシウムにポリ塩化アルミニウムや添加剤を混合・添加した薬液「CXP」を砂質地盤に浸透注入することで、地盤を固結改良して液状化を防止する薬液注入工法です。注入後に重合して生成したゲル(複合ポリマー、-1)には加水分解等の分解反応が発生しないため、改良土の長期耐久性が確保されます。
また、CXPの大きな特徴として、既存の水ガラス系薬液では適用が困難であったpH 10程度以上のアルカリ性地盤においても、液状化対策として必要な地盤改良強度および長期耐久性を確保できることが挙げられ、水生生物に影響を及ぼさず、その改良土は土壌汚染対策法の指定基準に適合することが確認されています。



既設タンクの液状化対策工事

これまでに実施したフィールド試験での知見を活かし、名古屋市内の化学工場内において、危険物屋外タンク(φ3.5m)の液状化対策工事を行いました。
タンク(直接基礎)直下の改良対象土層(GL-1.45m-4.65m)は、対象土層のpH10.3とアルカリ性を示すシルト混じりの砂質土から成る埋土層で、N値は59、細粒分含有率は1024%であり、地震時に液状化する可能性が高いと判定されました。
施工方法の選定にあたっては、当該タンクの供用を継続しつつ施工する必要から、防油堤外周部からタンク直下への薬液注入により地盤改良ができる工法の中でも、アルカリ性地盤に対応可能なCXPグラウト工法が採用されました。地盤改良工事のイメージを-2に、平面図および断面図を-3に示します。改良体は、直径φ2.5m、中心間隔2.0m8球の配置となっています。また、CXPの濃度は配合試験結果に基づき6%とし、ゲルタイムは5060分程度に設定しました。
施工は、タンクの基礎部や防油堤に変状が発生していないことを確認しながら、ダブルパッカを用いて動的注入方法により行いました(写真1、写真2)。所定量全量の注入完了後は、タンク直下の改良土をサンプリングし、改良土の一軸圧縮強さが設計時の目標強度(原位置強度で46.7kN/m2)を十分に確保したことを確認しました。

まとめ

CXPグラウト工法による初めての実工事として、供用中の危険物屋外タンクの液状化対策工事を行いました。その結果、本工法による既設構造物直下地盤への適用性が明らかになるとともに、pH 10を超えるアルカリ性地盤も十分に改良できることが実地盤において確認されました。今後も工事実績を重ねて液状化被害を防止することで、地域の安心・安全や国土強靭化に貢献していきたいと考えています。


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