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「史跡松本城浚渫工法調査業務委託」に参画し、内堀300㎡を浚渫

-サブマード工法(水中排砂ロボットによる浚渫)の適用-

2021年04月08日 リリース

株式会社鴻池組(本社 大阪市、代表取締役社長 渡津弘己)と株式会社シーテック(本社 名古屋市、代表取締役社長 仰木一郎)は、このたび史跡松本城浚渫工法調査業務委託に参画し、水中排砂ロボットによる浚渫および脱水固化処理を基本技術とするサブマード工法を適用して、松本城内堀のうち300㎡の浚渫を行いました。
浚渫(しゅんせつ)とは、河川や湖沼などの底面に堆積した土砂を取り除く作業のことで、悪臭の抑制や水質浄化などの効果が期待されます。
また、水中排砂ロボットによる浚渫に加えて、浚渫泥土の脱水固化処理に当社が保有する酸素やオゾンのウルトラファインバブル(UFB)技術を活用することで、堀の水質浄化を図りました。 

史跡松本城浚渫工法調査業務委託について

松本市では、松本城の歴史的な景観及び快適な公園環境・見学環境の維持向上を図るため、松本城の内堀、外堀および総堀の全面的な浚渫の実施を予定しています。そこで、松本城に最も適した浚渫方法を選択するため、公募型プロポーザル方式により浚渫方法を募集し、当社を含めた3社の提案を採択し、それぞれ実証実験を実施しました。
実証実験では、株式会社シーテックの保有する水中排砂ロボットによる浚渫および脱水固化処理を基本技術とするサブマード工法を適用して、松本城内堀のうち300㎡、土厚1mを浚渫しました。

水中排砂ロボットによる浚渫

水中排砂ロボットは浚渫専用のロボットであり、ゴムキャタピラーで堀底を走行し、本体前面に装備されたスクリューにより浮泥・堆積土砂を搔き集め、搭載ポンプで陸上へ吸引圧送するものです。本業務で用いたS型水中排砂ロボットは、全長2,723㎜、幅員1,564㎜、スクリュー幅1,600㎜とコンパクトなサイズのため、4t車クラスでの運搬が可能です。
また、水中排砂ロボットの操縦は、陸上の操作室から遠隔で行い、水深やスクリュー高さを確認しながら行うため、安全に作業ができます。また、水中での作業となるため水面の美観を損なわず、堀内の濁りや悪臭の発生、機械騒音を抑えることができる点が最大の特徴です。
本業務では、浚渫予定範囲における堀底地形の起伏が不明瞭である点や、堀内も史跡である点を考慮し、水中排砂ロボットを吊り上げるフロート台船を補助的に使用しました。フロート台船を使用することによって、水中排砂ロボットが自走できない堀底の起伏の厳しい箇所においても移動が可能になったほか、水中排砂ロボットを吊上げた状態でフロート台船を作業船にてけん引しながら浚渫したり、浚渫高さを自在に調節したりと、状況に応じた浚渫が可能になりました。
水中排砂ロボットとフロート台船の併用は、比較的コンパクトな設備であり、かつ、浚渫作業中は泥土を圧送するホースが水面下へと沈み込むため、史跡松本城の景観を損ねることなく浚渫できた点が最大の強みです。

ウルトラファインバブル(UFB)技術を活用した浚渫泥土の脱水固化処理

浚渫泥土は、振動篩とサイクロンで夾雑物および砂礫分を回収したのち、シルト・粘土分は、フィルタープレスを用いて脱水固化を行い、脱水処理土(脱水ケーキ)として回収しました。

ここで、シルト・粘土分を受け入れる原水槽にウルトラファインバブル(UFB)発生装置を設置し、酸素・オゾンを供給することで浚渫した泥土の酸化促進を図りました。
さらに、放流水槽においても、UFB発生装置を用いて高濃度溶存酸素水(酸素UFB水)を生成させ、振動篩の洗浄水に一部再利用することで夾雑物や砂礫分表面に付着する泥土分を効果的に洗い流しました。堀に放流する余剰の処理水は、高濃度溶存酸素水(酸素UFB水)であるため、堀の水質浄化への寄与が期待されます。

今後の展開

本実証実験で得られたデータや知見を通じて、水中排砂ロボットによる浚渫技術をさらに改善・改良し、あらゆる自然環境に対応できる浚渫工法の開発を目指します。同時に、ウルトラファインバブル(UFB)技術の活用を通じた水質浄化に寄与できる総合的な浚渫工法に仕上げることで、閉鎖性水域等の環境浄化により一層貢献していきます。

以 上

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