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滋賀県栗東市「旧RD最終処分場二次対策工事」完了

-23万㎥の廃棄物土を選別-

2021年03月30日 リリース

株式会社鴻池組(本社 大阪市、代表取締役社長 渡津弘己)を幹事会社とする鴻池・不動テトラ・八田建設工事共同企業体は、滋賀県栗東市における産業廃棄物不適正処理事案(旧RD最終処分場問題)に対して産廃特措法に基づいた特定支障除去等を行うもののうち、抜本的対策となる二次対策工事を完了させました。
本事案においては廃棄物が底面粘土層を破壊して埋立てられ、側面帯水層にも接していたことから、底面粘土層の修復および側面に露出した地下水帯水層の遮水を行いました。その過程において掘削した廃棄物土23万㎥は、現地に設置した選別処理施設において廃棄物と埋戻し材に選別しました。

平成25年度第RD-3号旧産業廃棄物最終処分場二次対策工事について

RD社が滋賀県栗東市小野に設置した産業廃棄物の安定型最終処分場において、許可品目以外の産業廃棄物が埋立てられたことにより、1999年に高濃度の硫化水素ガスが検出され、地下水汚染等が問題となり、後には違法なドラム缶等の埋立てが発覚しました。2006年に旧RD社の破産手続の開始が決定されたことから、滋賀県は「特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法」に基づく実施計画を策定し、行政代執行により地下水汚染の拡散防止を目的とした一次対策工事を実施しました。
本工事は2013(平成25)年に同法に基づく環境大臣の実施計画の変更同意を受けた二次対策工事で、201312月より20213月までの7年以上に渡り対策を実施したものです。本事案においては廃棄物が底面粘土層を破壊して埋立てられていることや、側面帯水層に接していることから、汚染された浸透水が周囲に拡散していました。下記対策を実施することにより、生活環境保全上の支障およびそのおそれを除去しました。

①破壊された底面粘土層の修復(底面遮水工)および側面に露出した帯水層の遮水(側面遮水工)、鉛直遮水工の実施
②①のために掘削した廃棄物土は、選別処理施設で廃棄物と埋戻し材に選別
③揚水ピットに集水した浸透水は揚水し、浸透水処理施設にて処理後に下水放流
④位置を特定できた有害物(土壌環境基準超過の廃棄物土等)の掘削除去、処分
⑤上記までの対策後、処分場表面を良質土やシート、アスファルト舗装で覆うことによる廃棄物の飛散流出防止

汚染地下水拡散防止対策

本工事では汚染された地下水が周囲に拡散することを防止するため、破壊された底面粘土層の修復(底面遮水工)、および側面に露出した帯水層の遮水(側面遮水)を実施しました(図-1)。底面および側面遮水工にはセメント改良土を用いることが標準案でしたが、温度収縮クラックや乾燥収縮クラックの発生により遮水性を確保できないことが懸念されました。そこで、吸水膨潤作用による自己修復機能があるベントナイト混合土をセメント改良土で挟む構造の遮水構造を底面遮水工に適用しました(図-2)。また、底面および側面遮水工においては締固め度の管理が重要になることから、加速度センサー搭載型GPSローラーを使用し、オペレーターが管理用モニターでCCV値(乾燥密度と相関のある締固め指標)を確認しながら締固めを実施することにより、面的かつリアルタイムに締固め度を管理しました(写真-2)。また、側面遮水工に対しては一部敷地境界にTRD 工法による鉛直遮水工を行いました(写真-3)。

廃棄物土の選別

底面および側面遮水工の目的のために掘削除去された廃棄物土は、場内に設置した選別処理施設(写真-4)に運搬し、図-3に示す処理フローによって埋戻し可能な「選別土」や「選別再生資材」と場外搬出処分する「選別除去廃棄物」に選別しました。これら選別精度の向上と同時に、「重金属の溶出を促進しないよう、改質物が中性域になるもの」、「硫化水素の発生を促進しないもの」、「発熱による火災発生のおそれがなく、粉じんの発生が少ないもの」といった品質が求められました。そこで「無発熱」「低発じん」「改質物が中性域」「養生期間不要」の特徴を有した高分子系改質剤・クリーンウォーターを用いました。廃棄物土の選別は、2019年10 月末までに完了し、最終的に約23万㎥を選別しました。


地域住民の方々の安全・安心のために

本工事は完成後もモニタリング調査が行われ、2年後の20233月までに実施計画の目標達成状況の確認、5年後の20263月を目途に対策工の有効性の確認が行われます。これらの結果を今後も注視するとともに、実施してきた取り組みが、地域住民の方々の一刻も早い安全・安心な暮らしに寄与することを願います。


以 上

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