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当社とインフォマティクス社の連携による「準天頂衛星システムみちびき」と 「MR技術」を

用いたCIMデータの活用を実証

2021年03月11日 リリース

株式会社鴻池組(大阪市、社長 渡津 弘己)と株式会社インフォマティクス(川崎市、社長 齊藤 大地)は、「2020年度 みちびきを利用した実証事業」において、造成工事現場「宮リバー度会ソーラーパーク(三重県度会郡度会町)」にて、準天頂衛星システムみちびきとMR技術を連携させる事により、工事現場においてCIMデータを実寸大でMR投影し、関係者間で工事内容の確認と、造成工事に関する計測を行う実証を行い一定の成果を納めました。

実証の背景

本実証事業は、内閣府及び準天頂衛星システムサービス株式会社が、みちびきの新たな活用を考えている企業を後押しするために、みちびきの利用が期待される新たなサービスや技術の実用化に向けた実証事業を行う企業等を募集したものです。インフォマティクス社は、「センチメータ級測位補強サービス(CLAS)とMR技術によるBIM/CIMデータの活用」をテーマに実証事業に採択され、このたび、同社とともに実証を行いました。

実証の概要

実証現場は、全長約2km、面積100haに及ぶ大規模な造成現場のため、MRシステムの条件としては極めて困難な環境です。また、我が国が誇る高精度な衛星測位技術と、MR技術を連携させたBIM/CIMデータの現場での実寸大投影は、国内でも前例のない先進的かつ画期的なチャレンジでした。さらに、現場の生産性や品質の向上を目的に、出来形の確認を行う計測機能を同社が新たに開発し、実証に臨みました。 結果は、みちびきの高精度な位置情報により実寸大CIMデータの正確な重畳が実現し、みちびきの補強信号がMR映像を常時補正することが確認できました。また出来形の計測機能においても現状の現況地盤面と設計の計画高(CIMデータ)との差分の高さ計測が実証されました。

本システムの特長

本システムの特長は、みちびきの信号が受信できる環境であれば、あらゆる場所においてCIMデータの位置合わせが可能になる点です。CIMデータを造成工事現場の頂上、また工事事務所付近から重畳した際、みちびきのCLAS信号が受信可能な専用受信機を起動した後に、数分でホログラフィックを表示することが可能です(図-3、図-4)。



実証では、粗造成の時の出来形を確認するために、現状の現況地盤面とCIMデータの計画地盤面との高さを計測する機能を同社が新たに開発し、現場で実測を行いました。
切盛り土工工事が行われる場所で、現況の地盤面高と、計画地盤面の高さとの差と共に、その時に指定した場所から法尻や法肩までの距離が表示されます (-5)


MR技術は工事初期の現地調査において、2次元紙図面とは違い3次元設計データが一目でイメージでき、仮設道路の敷設など適正な計画が作りやすい点、また施工段階でも粗造成での活用が期待できる点で有効です。また、みちびきを利用した本システムは、通常のGNSS測量で必要な基準局等の設置が不要で、受信機とMRデバイスのみで利用でき、コスト面でも有利であることが確認できました。

今後もインフォマティクス社の最新機能などを最大限活用し、ここで得られる知見や、技術情報などを同社とともに様々な取り組みにも応用し、建設現場におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させてまいります。

実証の動画
https://youtu.be/-Ak_PQNQyzY

【注釈】
内閣府みちびきホームページ
[結果] https://qzss.go.jp/overview/information/applidemo_200902.html
[公募] https://qzss.go.jp/overview/information/applidemo_200511.html

みちびきについて
みちびき(準天頂衛星システム)とは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムのことで、201811 月から4機体制で運用を開始しており、このうち3機はアジア・オセアニア地域の各地点では常時見ることができます。みちびきはGPSと一体で利用できるため、安定した高精度測位を行うことを可能とする衛星数を確保することができます。GPS互換であるみちびきは安価に受信機を調達することができるため、地理空間情報を高度に活用した位置情報ビジネスの発展が期待できます。

センチメータ級測位補強サービス(CLAS)について
高精度な衛星測位を行うため、国土交通省国土地理院が全国に整備している電子基準点のデータを利用して補正情報を計算し、現在位置を正確に求めるための情報(センチメータ級測位補強情報)がみちびきから送信されます。20201130日に測位精度のより安定したサービスを提供することを目的に、補強対象衛星数を最大17機とするユーザインタフェース仕様の変更が行われ、既に運用が開始されています。

以 上

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