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活線下で既設覆工コンクリートを再構築する「Reライニング工法」の開発

-老朽化した山岳トンネルを安全かつ高速で再構築-

2020年10月23日 リリース

株式会社鴻池組(大阪市、社長 蔦田守弘)、カヤバシステムマシナリー株式会社(東京都、社長 坂井 静)、岐阜工業株式会社(岐阜県、社長 宗像国義)、及び株式会社流機エンジニアリング(東京都、社長 西村司)は、国立研究開発法人 土木研究所と共同で、一般車が通行可能な活線下で大規模な山岳トンネル覆工コンクリートの打替えや補強を安全かつ高速で施工できる新しい切削・内巻工法として 「Re(リ)ライニング工法」 を開発しました。
老朽化で生じた覆工コンクリートのひび割れ、剥離・剥落、あるいは漏水などの不具合箇所を切削除去し、建築限界を侵すことなく、新設相当の覆工コンクリートを新たに再構築します。また、切削後に防水シートを敷設することで、従来の矢板工法で建設されたトンネルを、防水機能を有した覆工コンクリートのトンネルとしてリニューアルすることが可能です。
このたび、切削実証試験を実施し、結果をもとに本工法を構成する主要機械の基本設計を完了して、実用化の目途が立ちました。今後、本工法を積極的に提案することで、高品質かつ安全なインフラ再生に貢献してまいります。

Reライニング工法の概要

本工法は、「切削」と「内巻き」の2ステップで構成されています(図-1)。まず、切削と内巻きを安全に実施するために必要な範囲を移動式プロテクタで防護して供用1車線を確保します。移動式プロテクタ上部の前方部で切削機を用いて老朽化した既設覆工コンクリートを1530cmの厚さで切削、除去し、後方部で切削した部分にセントル型枠を用いてコンクリートを打設して内巻覆工を構築します。移動式プロテクタ上では、坑内設備の撤去などの切削前に行う準備工、防水シート敷設などの覆工打設前に行う諸工程、坑内設備の復旧などの覆工打設後に行う諸工程が実施可能です。
尚、コンクリート切削および内巻覆工の1日当たりの施工延長をL=5.25mと見込んでいます。コンクリート切削機とセントル型枠は移動式プロテクタと分離しているため、切削のみや覆工コンクリート打設のみの施工にも対応が可能です。

(1) 集じん装置(図-1①)(写真-1
集じんユニット2台とファンをプロテクタ前方上部に搭載することにより、切削粉じんを効率よく吸引します。また、集じん機内部へのチェーンスクレーパとサイクロン式粉じん回収装置の設置により、吸引堆積したダストを自動で効率よく排出できます。

(2) 覆工コンクリート切削機(図-1②)(写真-2,3
移動式プロテクタを跨いで配置したコンクリート切削機台車に装備する2台の切削機で覆工コンクリートを切削・除去します。切削能力、凹凸の少ない切削面、切削後に残ったコンクリートの健全性などを切削実証試験により検証し、良好な切削が可能であることを確認しています。

(3) 覆工セントル型枠(図-1④)
移動式プロテクタを跨いで配置した覆工セントル型枠でコンクリートを打設します。打設時の荷重やセントル自重をプロテクタに伝えない構造とすることで、型枠脱枠前にプロテクタを移動することができます。また、型枠は高流動性コンクリートの側圧に耐える剛性を備えた構造としています。

(4) 移動式プロテクタ(図-1⑦)
移動式プロテクタは、施工に必要な延長および打替えた覆工コンクリートが設計強度に達するまでの養生に必要な延長の合計の長さとします。5分割構造の連結式により、トンネルの線形に対応できます。また、左右高さ調整ジャッキによりトンネル横断勾配に対応できます。ジャッキ式移動装置により縦断勾配に対応できスムーズな移動を行えます。プロテクタ移動方向前方に配置した間仕切り壁と、プロテクタ下部と路面間に配置したシート部材により気密性を高め、切削時の粉じんや重機排ガス等が、一般車が通行するプロテクタ内部へ拡散することを防止できます。


以上
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