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AI画像識別による人物段階検知システムの開発

-2段階検知による重機接触災害の防止-

2020年09月18日 リリース

株式会社鴻池組(大阪市、社長 蔦田守弘)とニシオティーアンドエム株式会社(高槻市、社長 西尾英一)は、ニシオティーアンドエム社の重機接触防止装置「人物検知システムHADES(Human Approach Detection Emit a Signal device)」に付加機能を持たせた「人物段階検知システム」を開発し、東京都内の山岳トンネル工事においてその優位性を確認しました。

開発背景

山岳トンネル工事では、20ルクス程度の暗い作業環境下で様々な重機が錯綜しながら掘削作業を進めるため、重機オペレーターの視認性が悪く、重機と作業員との接触リスクが問題となっています。このため、近年では各社で重機接触防止装置の開発が進められていますが、作業員と重機にセンサーを取り付けるシステムでは、一般歩行者などの検知が困難であったり、ステレオカメラや赤外線センサーを用いて人物との距離を検知して識別するシステムでは、システム自体が高価で既存重機に後付けできないものも多く、屈んだり寝転ぶなど人物の特殊な姿勢によっては誤認識をおこすなど検知精度にも課題がありました。

本システムの概要

今回、開発した人物段階検知システムは、AIカメラを用いて重機との接触リスクが高い「危険域」に侵入した人物を認識して重機を自動停止させる「人物検知システムHADES」に付加機能を持たせ、「危険域」の前に設けた「警戒域」に侵入した人物に対しても予め警報を発令できる2段階検知システムです(図-1)。これにより、重機オペレーターと作業員は「危険域」侵入以前の早い段階から重機への接近を双方で認識できるため、重機オペレーターや作業員の心理的負担と重機接触リスクを低減できます(図-2、図-3、図-4)。

本システムでは比較的安価な単眼カメラを用いて、撮影範囲内に映る人物の手足など身体の一部や、屈む、寝転ぶ、座るなどの人物の特殊な姿勢をAIにより誤認識することなくトンネル坑内の暗い作業環境下においても0.1秒間隔で検知できます(図-5)。また、本システムで導入したAIは、現場状況や環境条件に応じてカメラ毎の人物検知レベルを細かく設定することができるため、現場の要望に応じた安全管理が可能です。さらに、本システムの基本構成は、システム本体(制御ユニット)、単眼カメラ(4台)、監視モニター、ブザー付き積層ランプからなり、既存重機にも容易に後付けすることが可能です。

今後、鴻池組は、本システムを山岳トンネル工事で使用する重機のみならず、クレーンやフォークリフトなど様々な汎用重機に取り付けを進め、重機接触災害の撲滅に努めていきます。



以 上

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