長浜市高月町における小水力発電事業の開始について
-設計・工事全般でエンジニア力を発揮-

2015年07月03日  リリース[環境関連技術]

株式会社鴻池組(社長:蔦田 守弘、以下「鴻池組」)は、大阪ガス株式会社(社長:本荘 武宏、以下「大阪ガス」)の100%子会社であるエナジーバンクジャパン株式会社(社長:境内 行仁、以下「EBJ」)が、日立キャピタル株式会社(社長:三浦 和哉、以下「日立キャピタル」)と共同で取り組む長浜市高月町での小水力発電事業において、発電設備設置の設計・工事全般を担当してきました。この工事は、湖北土地改良区が管理する中央幹線用水路の5号落差工および10号落差工において、15kWおよび10kWの流水式小水力発電設備を設置するものです。この度、鴻池組が担当した5号落差工での設置工事が完了したことから、7月1日よりEBJと日立キャピタルは小水力発電事業を本格的に開始しました。なお、100kW以下の小水力発電において、民間事業者が固定価格買取制度を利用して事業を行うのは、国内で初の取り組みとなります。
 
わが国における小水力発電については、これまで主に自治体・土地改良区が主体となり取り組みを進めてきましたが、民間事業者としてはイニシャルコストの負担が大きいことやノウハウの不足などから、取り組みが進んでいませんでした。今回、鴻池組のエンジニアリング力を活かした工期の短縮や発電装置のコスト削減などにより総事業費を大幅に削減し、加えてEBJのファイナンススキーム*1を日立キャピタルと共同で活用することにより初期投資額の抑制に成功したため、民間の事業としての実施が可能になりました。

本小水力発電事業は、滋賀県が策定した「滋賀県再生可能エネルギー振興戦略プラン*2」の中の農山村の地域資源を活用したエネルギー創出プロジェクトに沿った取り組みとなります。EBJが事業スキームを構築し、固定価格買取制度により20年間の売電を行います。また鴻池組は小水力発電システムの設計・工事全般を請負い、日立キャピタルが設備の保有を通じてEBJの独自スキームを活用したファイナンスの提供を行います。なお小水力発電設備はJAGシーベル株式会社製の流水式小水力発電装置「スモールハイドロストリーム*3」を採用しています。

大阪ガス、EBJ、日立キャピタル、鴻池組は、今回の取り組みで蓄積したノウハウを活用し、今後は自治体・土地改良区等と一体となって河川等における数百kWクラスの小水力発電設備の設置を促進していきます。


※1 大阪ガスのビジネスモデル特許登録済みのファイナンススキーム。初期投資を行わず、再生可能エネルギーを利用した発電設備を設置できる。
※2 地域レベルで取組み可能な再生可能エネルギーの導入促進と関連産業の振興を戦略的に推進していくため2013年3月に策定されたもの。
※3 ユニット型で短期間での設置が可能。国土交通省・農林水産省・経済産業省などで実績がある。

 

1.長浜市高月町 小水力発電事業のスキーム

 

2.長浜市高月町 小水力発電設備の概略
所在地     滋賀県長浜市高月町保延寺、柏原
設置場所    湖北土地改良区 中央幹線用水路5号落差工、10号落差工
設備容量    5号落差工 15kW、10号落差工 10kW(発電設備容量)
設備       (小水力発電設備)流水式小水力発電装置「スモールハイドロストリーム」 JAGシーベル製
          (パワーコンディショナー)山洋電気製
発電量     5号落差工    約 79,000kWh/年
          10号落差工 約 62,000kWh/年
                    ※ 合わせて一般家庭約 41世帯分の年間電力消費量に相当
                                 (太陽パネル設置枚数 3,392枚)
稼働開始日  2015年7月1日(5号落差工)
                      ※10号落差工については、近日中に稼働開始予定
売電先      株式会社エネット

 

3.長浜市高月町 小水力発電事業の特徴
 (1)再生可能エネルギーとして固定価格買取制度により売電
 (2)農業用水路の有効活用
 (3)緊急時には独立電源として利用可能
 (4)流水式小水力発電装置「スモールハイドロストリーム」の採用により、短期間での設置を実現

 

4.長浜市高月町 小水力発電設備 写真