自動化オープンケーソン工法(SOCS)の
適用拡大に向けた取り組み
-異形断面掘削に対応する水中掘削機の設計完了-

2013年09月20日  リリース[建設機械]

株式会社鴻池組(本社 大阪市、代表取締役社長 蔦田守弘)は、硬質地盤への大深度・大口径ケーソン施工技術である『自動化オープンケーソン工法(SOCS)』の適用範囲を拡大した、新しい施工機械の設計を完了しました。

● 工法概要と設計概要
自動化オープンケーソン工法は、建設省(当時)の総合技術開発プロジェクトにおいて官民共同で開発された工法で、従来のオープンケーソン工法の施工上の課題を機械施工により克服し、硬質地盤への大深度・大口径オープンケーソンの適用を飛躍的に拡大した工法です。本工法の特徴は、ケーソン刃先部地盤の掘削作業を機械による無人化施工を行うことで、水圧に影響されることなく掘削深度に対し掘削効率が低下しない点にあります。開発以来10件の施工実績では、いずれも深度50mクラスのケーソンに適用されており、最大外径35m、最大深度73.5mの規模を有し、換算N値500程度の玉石混じり砂礫層へのケーソン沈設も可能にしました。
ケーソン刃先部地盤を掘削する現有の水中掘削機は、機能上ケーソン平面形状が単円形のみへの対応でしたが、特に都市部における用地の制約や立坑利用目的のニーズに対応すべく、今回、小判形や楕円形、俵形といった異形断面への対応を可能にした水中掘削機の設計を完了しました。今回設計に際しては、従来のコンピュータによる掘削自動化を改め、遠隔操作による掘削方式を取り入れ、施工効率、コストダウンを図りました。

● 今後の展開
自動化オープンケーソン工法は、掘削にともなう外水圧(地下水圧)に対しケーソン内の水位でバランスを保つ工法で、掘削面内に人が立ち入ることがないので安全で周辺環境に優しく、大口径・大深度立坑を高品質・高精度に築造することを可能にした工法です。施工機械は地下水圧100m(1.0MPa)に見合った耐水性能を有しており、大深度地下の空間資源を有効に利用し、都市機能の向上(利便性、安心・安全、生活環境維持)を図る地下構造物(立坑)構築工法として期待されます。適用案としては、交通・物流網の整備、水害から都市を守る貯留施設の整備、最終処分場、地下駐車場の建設等が考えられます。今後、ニーズを見据え水中掘削機の製作を行い、施工への適用と普及を図る予定です。