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鴻池組

MR技術を活用したトンネル維持管理システムの開発(トンネルMR)
-鳥取西道路 気高第2トンネル工事における実証実験-

2018年02月05日  リリース[トンネル・シールド]

MR(Mixed Reality、複合現実)技術を活用したトンネル維持管理システム(トンネルMR)は、トンネルの維持管理に必要なデータをウェアラブル端末を介して実構造物に投射するシステムです。事前にデータを小型コンピューターに記録し、ARマーカーとウェアラブル端末に内蔵された各種センサー(深度センサー、環境認識センサー、加速度計、ジャイロなど)を用いて構造物の任意の位置にCIM等で作成した3次元データをホログラムにより1分の1スケールで正確に投射します。これにより、現地のトンネル坑内において覆工コンクリートのひび割れや不具合の進展状況、設計や施工との因果関係を容易に確認できるようになります。また、本技術は、一般的な土木構造物や建築構造物の維持管理に限らず、工事中の施工管理や品質管理にも活用できます。
今回、株式会社鴻池組(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:蔦田守弘)と株式会社インフォマティクス(本社:川崎市幸区、代表取締役社長:三原正一)は、ウェアラブル端末にMicrosoft社製のHoloLensを採用したトンネル維持管理システム(トンネルMR)を開発し、中国地方整備局鳥取西道路気高第2トンネル工事において、そのMR技術の有効性を確認しました。
 

[背 景]
トンネルや橋梁などの土木構造物は、施工完了時にコンクリートのひび割れや不具合箇所の調査を行い、発注者に引き渡されます。その後、発注者は日常及び定期点検や調査を継続的に行いながら、構造物の補修補強の必要性を判断し実施します。しかし、供用中の構造物については、構造物の複雑化、調査の時間的制約、排ガスなどで汚れた条件下において、前回の調査結果と見比べながら点検調査を行わなければならないため、現地で限られた時間内に効率的な点検調査を行うことが求められています。
 

[トンネルMRの特徴]
MRとはMixed realityの略で、「複合現実」のことであり、VR (Virtual reality)とAR( Augmented reality)を融合したものです。HDM(ヘッドマウントディスプレイ)などを使用して現実世界に3次元の情報を表示するものです。ARは現実世界に2次元等の情報を重ね合わせたものであるのに対し、MRは現実世界の所定の位置に3次元の仮想物体を表示するもので、装着した人にあたかもその物体がそこにあるかのように映ります。
今回、開発したトンネルMRは、現地のトンネル覆工に3次元の地質展開図やひび割れ展開図を、1分の1スケールでモデル化し、移動とともにその画像が高精度に追随(30m移動時に10cm以内の表示誤差)していくものです。また、切羽観察記録や内空変位計測結果などの属性を登録したポイントでは2次元データをハンズフリーで自動表示させることも可能にしています。
 

[概 要]
今回、MR技術を活用したトンネル維持管理システム(トンネルMR)の開発においては、以下の手順でトンネル坑内にCIM等で作成した施工データを投射し、その有効性を確認しました。
はじめにトンネル施工データ(2次元データ:設計及び実施支保パターン、切羽観察記録、内空変位計測結果、覆工施工記録等、3次元データ:ひび割れ展開図、地質展開図、湧水展開図、削孔検層、AGFなどの支保部材等)をウェアラブル端末等の小型コンピューターに登録しておきます。
① トンネル坑内の覆工側壁部等に覆工3~5BL毎(1BL=約10m)にARマーカーを設置します。
② 事前にARマーカーに、トンネル任意の位置における3次元データをリンクさせておき、ウェアラブル端末等でARマーカーを読み込んでこれらの3次  元データを呼び出します。
③ 各種センサーでトンネルと人の位置を認識させ、呼び出した3次元データとトンネル坑内との位置をマッチングさせて投射します。
④ 人の移動中は、常時、各種センサーにより、現在位置を測定しながらトンネル坑内に3次元データをマッチングさせて投射します。
⑤ 必要に応じて、登録しておいた2次元データもトンネル坑内の任意の位置で呼び出します。
また、トンネル坑内で電源を確保できる場合は、ARマーカーのかわりにビーコンを使用し、ウェアラブル端末の近距離無線通信機能と各種センサーを併用しながらデータを連続して投射することも可能です。
これらの技術により、点検調査時に構造物のひび割れや漏水を発見した場合に、前回の3次元データと見比べてその進展状況を確認したり、近傍の2次元データや3次元データなどの施工データを呼び出したりすることで現地において容易に不具合の発生原因を推定することが可能になります。
 

[その他の活用方法]
本技術はトンネルの維持管理技術として開発しましたが、以下に示すような活用方法も考えられます。
① 事前に設計3次元データ(路線形状、躯体形状、切盛土工形状等)を小型コンピューターに登録し、GPS等のGNSSやビーコンにより位置情報と連携させ、ウェアラブル端末を用いて現地に投射することで、完成イメージがつかみやすくなり施工上の問題点を事前に把握できるとともに、施工中の構造物に投射することで施工ミスや施工し忘れも防止できます。
② トンネル施工中に施工データを随時小型コンピューターに登録し現地に投射することで、地山崩落や変状、突発湧水発生時に発生原因をより的確に推定できるため、迅速な対応が可能になります。
③ 施工中のデータを、クラウドなどに保存・更新し、現地で最新データを取り込むことでMR技術を効率よく活用することが可能になります。
④ 維持管理データを、クラウドなどに一時的に保存し、現地で最新データを取り込むことでMR技術を効率よく活用することが可能になります。
 

[今後の展開]
現在、MR技術を活用したトンネル維持管理システム(トンネルMR)について、国土交通省が進めるi-Constructionの一環であるCIMとの連携を検討しています。これにより、受注者が設計・施工時に作成したCIMを効率的にMR技術に取り入れ現地に投射することで、施工管理や品質管理に容易に活用できるとともに、それらを発注者に引き継ぐことで将来的な維持管理にも活用することが可能になると考えています。

 

 

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