技術広報誌ET

技術広報誌ET 2019年発刊号

日本初の全住戸ZEH基準達成
分譲マンションの施工

492号(2019年01月01日) 名古屋支店 工事事務所 木原 博志

はじめに

住宅街として人気の高い名古屋市千種区菊坂町で、全住戸がネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の基準を達成した(※)高級分譲マンション「グランドメゾン覚王山菊坂町」(図-1)の建設を進めています。全住戸で『ZEH』基準を満たすのは日本初で、省エネ性能を評価する「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」においてZEH基準適合評価を住戸単位で取得しています(最高ランクの5つ星を取得)。

図-1 完成予想図(提供: 積水ハウス(株))

図-1 完成予想図(提供: 積水ハウス(株))

※ 「ZEHロードマップ検討委員会取りまとめ」の「ZEH」の全要件を満たし、「Nealy ZEH」よりレベルが高い100%以上の一次エネルギー消費量削減を達成するマンションは国内初です。

ZEH(ゼッチ)とは

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、断熱性能の向上と高効率設備の採用により大幅な省エネを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅です(図-2)。

地球温暖化防止のため、国はZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)と同様に普及を推進しており、新築住宅においては近い将来標準的な仕様となる見込みです。なお、基準に係る計算は国が定めた方法に則り住戸または住棟単位で行われます。

図-2 一次エネルギー収支ゼロの概念図 (提供: 積水ハウス(株))

図-2 一次エネルギー収支ゼロの概念図 (提供: 積水ハウス(株))

採用技術と施工上の特徴

当マンションに採用されたZEH仕様要素技術の概要を図-3に示します。省エネとしては、窓に「アルミ・樹脂複合サッシ+アルゴンガス封入Low-E複層ガラス」(写真-1)の採用により、開口部の断熱性能を従来比2倍に高め、壁には「高性能断熱材」(写真-2)を採用しています。また、省エネ機器として高効率給湯システムやLED照明などを採用しています。高性能断熱材は厚さが約80mm(通常20~40mm程度)あることから、吹き付け時の厚さ管理には細心の注意が必要となります。

一方、創エネとして全住戸に平均約4kWの太陽光発電システムと燃料電池「エネファーム」を設けることで、省エネと合わせてネット・ゼロ・エネルギーを達成しました。

図-2 一次エネルギー収支ゼロの概念図 (提供: 積水ハウス(株))

図-2 一次エネルギー収支ゼロの概念図 (提供: 積水ハウス(株))

写真-1 高断熱サッシの模型

写真-1 高断熱サッシの模型

写真-2 吹き付けられた高性能断熱材

写真-2 吹き付けられた高性能断熱材

おわりに

昨年の12月末現在、各住戸の仕上げ工事を順次進めています。4月末に完成し、日本初の全住戸ZEH分譲マンションが覚王山に誕生します。

工事概要

工事名称 (仮称)グランドメゾン菊坂町Ⅱ新築工事
工事場所 名古屋市千種区菊坂町
発注 積水ハウス(株) 名古屋マンション事業部
設計・監理 (株)計画工房
施工 (株)鴻池組
工期 平成29年5月~平成31年4月(解体工事含む)
主要用途 共同住宅(分譲)
構造・規模 RC造 地上3階 地下1階 住戸数12戸
建築面積 557.64㎡ 延床面積 1,804.72㎡

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492号(2019年01月01日)の記事

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