技術広報誌ET

技術広報誌ET 2018年発刊号

世界最大の容積を誇る巨大テント
~ギネス世界記録に挑戦~

491号(2018年10月01日) 東京本店 工事事務所 橘 敏明

はじめに

光が丘清掃工場建替工事において用いた解体する工場棟全体を覆う負圧密閉型テント(写真-1)は内部容積が約43万㎥で世界最大の大きさです。このような仮設テントは、「仮設」であるために一般の方々の認知度も低く、注目されることが少ない構造物ですが、高い技術力で作られた世界に誇るべきものです。このニッチな技術を広く知ってもらうために、ギネス世界記録への登録を目指しました。ここでは、その挑戦について紹介します。

写真-1 施設全景

写真-1 施設全景

ギネス世界記録への挑戦

ギネス世界記録として認定してもらうためには、過去に認定を受けたものと同一構造体で構成される必要があり、当工事のテントはそれに該当していました。当社、(株)トータル環境、他2社の4者が共同して、ギネスワールドレコーズジャパン(株)(以下、ギネス)に審査を依頼しました。ギネスとのコンサルタント契約、挑戦者が提出する資料の著作権放棄およびギネスの知的財産権の保護に関する同意書を取り交わした後、「証拠物の提出に関する案内」(以下、案内)と今回のカテゴリー「最大の負庄密閉式テント」に関するガイドラインが示されました。

この案内とガイドラインに従い、申請するテントの内容積を測量により算出しました。測量計画は事前にギネスへ提出して承認を受けました。計測を行う測量者および計測時の立会人である証人には、過去に申請者と取引がなく、かつ血縁関係にない方を選定しました。測量機器側とターゲットポイント(測定箇所)側それぞれに証人を配置し、ビデオカメラで音声とともに測量状況を撮影しました(写真-2)。写真撮影も行い、説明文を付してギネスに提出しました。測量結果を3D空間設計・解析システム「LandForms®」にて計算し内容積を算出した結果、「431,545.30㎥」との結果を得ました。計算結果の妥当性を評価した計算書や前述の測量状況の記録とともにギネスへ証拠品として提出しました。

写真-2 テントの測量実施状況

写真-2 テントの測量実施状況

世界最大であることの証明

ギネス世界記録として認定されるためには、このテントが世界最大であることを挑戦者自らが証明する必要があります。また、その調査方法および調査機関についてもギネスの承認を得る必要があります。現在、ギネスの承認を受けている第三者機関に依頼し、テントを取り扱う世界中の企業の実績を調査しています。この調査結果を前述の測量結果とともに提出し、ギネス本社(イギリス)での審査を経てギネス世界記録として認定される予定です。

おわりに

この世界最大のテントにより、周辺環境に影響を及ぼすことなく、安全かつ効率的に焼却施設の解体作業を行い(写真-3)、無事に完了することができました。

全国には更新が必要な焼却施設などの大型構造物が数多くあり、今後より大きな仮設テントが作られ、記録は更新されていくことになります。一般的に、建設工事には悪いイメージが付きまとっていますが、様々な技術革新により安全で環境に優しい工事が進められていることをギネス世界記録認定によって少しでも多くの人に知ってもらうことができれば幸いです。

写真-3 テント内作業風景

写真-3 テント内作業風景

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491号(2018年10月01日)

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