東日本大震災に係る災害廃棄物等中間処理

多賀城市中間処理業務 

東北支店 工事事務所
南京 秀己/安達 忍

 

はじめに

本工事は、宮城県多賀城市において東日本大震災により発生した膨大な災害廃棄物や津波堆積物を中間処理することにより、一次仮置き場の周辺環境悪化防止、仮設焼却炉および最終処分場への負荷の縮小、リサイクル率の向上を図ることを目的としています。

 

災害廃棄物等の仮置きについて

災害廃棄物等は一次仮置き場に混合物、廃木材、コンクリートガラ、津波堆積物等に分けて集積されており、種別ごとに中間処理施設に搬入します(写真-1)。
また、仮置き場の災害廃棄物は長期の保管に伴う発酵により発熱し、自然発火による火災も発生したことから、早期の撤去が求められました(写真-2)。

 

 

中間処理について 

中間処理は環境省通達の「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針」および、「東日本大震災津波堆積物処理指針」に基づいて行いました。

【廃木材の中間処理】
廃木材は水洗浄により脱塩し、利用可能なサイズ(50㎜以下)に破砕します。
木材チップは塩素分析を経て福島県のバイオマスリサイクル施設にボイラー燃料として搬出しました(図-1)。 【廃木材の中間処理】
廃木材は水洗浄により脱塩し、利用可能なサイズ(50㎜以下)に破砕します。
木材チップは塩素分析を経て福島県のバイオマスリサイクル施設にボイラー燃料として搬出しました(図-1)。 【廃木材の中間処理】
廃木材は水洗浄により脱塩し、利用可能なサイズ(50㎜以下)に破砕します。
木材チップは塩素分析を経て福島県のバイオマスリサイクル施設にボイラー燃料として搬出しました(図-1)。  
【廃木材の中間処理】
廃木材は水洗浄により脱塩し、利用可能なサイズ(50㎜以下)に破砕します。
木材チップは塩素分析を経て福島県のバイオマスリサイクル施設にボイラー燃料として搬出しました(図-1)。

【コンクリートガラの中間処理】
コンクリートガラは路盤材に利用可能なサイズ(40㎜以下)に破砕した後、再利用します(図-2)。

【不燃系粗大物の中間処理】
不燃系粗大物は油圧ショベル(ニブラ付き)で埋立可能なサイズ(300㎜以下)に破砕します(図-3)。

【可燃系粗大物の中間処理】
可燃系粗大物・タタミ・マットレスなどは、自走式シュレッダで焼却可能なサイズ(300㎜以下)に破砕した後、圧縮梱包します(図-4)。

【混合物改質の中間処理】
図-5に混合物改質の処理フローを示します。
作業手順は以下のとおりです。
①混合物は改質剤を添加混合し、分別しやすい性状に改質します。
②混合物は振動スクリーン等で金属類・コンガラ・可燃物・不燃物・復興資材等に分別します。
③可燃物は圧縮梱包します。
④復興資材は埋立材として利用可能な性状に改質します。

【津波堆積物の中間処理】
図-6に津波堆積物の処理フローを示します。
作業手順は以下のとおりです。
①土砂等は改質剤を添加混合し、分別しやすい性状に改質します。
②津波堆積物は、振動スクリーンと手選別で金属類・コンガラ・可燃物・不燃物・土砂等に分別します。
③土砂等は埋立材として利用可能な性状に改質します。

おわりに 

本業務は宮城県下(仙台市除く)で最初に分別作業の運用を開始し、本年内の完了を目指しています。
業務中、被災者の思い出の品が発見されるたびに、身の引き締まる思いでした。今は、このような被害が二度と発生しないようただ祈るだけです。
今後とも建設会社として復興に向けた取り組みを積極的に行っていきたいと考えています。

 

 

工事概要
工事名称 多賀城市東日本大震災に係る災害廃棄物中間処理等業務委託
業務委託者 多賀城市
業務受託者 (株)鴻池組 東北支店
工期 平成24年2月~平成26年3月
工事場所 宮城県仙台市宮城野区港四丁目10-1
規模等 中間処理施設面積32,000m
施設概要

混合廃棄物中間処理施設 一式
廃木材中間処理施設   一式 
粗大可燃物中間処理施設 一式
津波堆積物中間処理施設 一式
コンクリートガラ中間処理施設 一式

処理量 14.2万トン(推定)

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467号(2012年10月01日)