超軟弱地盤(河川感潮域)における二重締切堤

古川水門改築

九州支店 工事事務所
牛嶋 浩一朗

はじめに

条件・特徴

留意事項

二重締切堤は、設置期間が17カ月あり、本堤防の役割を果たす重要構造物となります(図-2)。

仮締切堤設置については、前出の特殊条件下での施工であるとともに以下の留意事項を踏まえ対策等を検討しました。

施工順序

二重締切堤の施工順序は以下の通りです(図-3、4)。

リスクの抽出と対策

仮締切堤の環境条件等を踏まえ以下のリスク要因を抽出し対策を講じました。

1.仮桟橋進入路のスベリ破壊

事前検討の結果、表層改良(t=2.0m)を併用して盛土を施工しました。スベリ検討時の粘着力は現地にてコーン貫入試験を実施した結果を採用し、設計計算で採用されている粘着力と比較しその妥当性を確認しました。

2.鋼矢板自立時(施工途中)の鋼矢板変位

低水路施工時は、できる限り堤内外水位差を一定に保ちました。また、低水路部は仮桟橋を利用し補強を行いました(写真-2)。

3.締切内改良時の鋼矢板の変位

地盤改良に伴う締切堤の挙動を把握するため事前に計測器(ひずみ計、傾斜計、軸力計)を設置しました。挙動を監視することにより地盤改良に伴う壁体の挙動を把握でき、それ以降の挙動予測に役立ちました。

4.締切内改良時の改良材流出

鋼矢板による低水路締切までは改良範囲を鋼矢板で仕切り(締切直角方向)六角川への改良材流出を防止しました。

5.河川水流入による施工性および中詰土品質の阻害

感潮部分の鋼矢板セクションに止水材を塗布しました。これらにより水の流出入を防ぎ環境面・施工性・品質面に大きな効果を得ることができました。

おわりに

二重締切堤は六角川および軟弱地盤に頭を悩ませながら所定の工期内に無事完成することができました。今回、特殊条件下(感潮河川、軟弱地盤)に設置された二重締切堤の施工時における対策・工夫等を紹介しましたが、今後の類似工事において参考になれば幸いです。

工事概要
工事名称 古川水門改築工事
工事場所 佐賀県杵島郡江北町八町地先
発注 国土交通省九州地方整備局
設計 国土交通省九州地方整備局
施工 (株)鴻池組
工期 平成16年11月~平成19年3月
工事内容 水門 B=10.85m H=3.5m   2門
常時樋門 B= 2.5m H=2.5m  2門
仮設工  1式
地盤改良工  1式
既製杭工  1式
コンクリ-ト工  1式
築堤・護岸工  1式

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430号(2007年05月01日)