塗って耐震 『サイド・ポ・スト工法』

はじめに

日本列島は地震活動期に入ったとも指摘される中、1981年以前の旧耐震基準による建築物の耐震性向上が急務となっています。集合住宅など居住を目的とした建物においては、特に「住まいながら」改修ができる工法が望まれています。サイド・ポ・スト工法1は、“塗って耐震”をキャッチフレーズに、住まいながら工事ができる新しい耐震補強工法です。

※1 正式名称:組立鉄筋(Aタイプ)を使用したそで壁付柱の耐震補強工法

 

工法概要

当工法は、そで壁付柱を有する建物(RC造またはSRC造)を対象とした耐震補強工法です。補強する部位に組立鉄筋を建て込み、その上から特殊ポリマーセメントモルタル(SPCM)を塗り込むことによって一体化し、せん断強度を増大させる耐震補強工法です。
主な特長として以下が挙げられます。
①左官工によるコテ塗り作業が中心で、振動・騒音・粉塵が非常に少ない
②片側(外側)のみの補強でも効果が十分に得られ、「住まいながら」の工事が可能
③建物の機能や意匠性を大きく損なわずに補強ができる
④他の耐震改修工法を併用した改修工事も可能

なお、塗り込み材料として用いられるSPCMは防錆効果があり、コンクリートとの一体性に優れた無機質系材料です。SPCMは断面修復材や表面被覆材としてすでに活用されていますが、サイド・ポ・スト工法は、この材料特性を十分に活かした耐震補強工法です。
当工法は、PMG-SWR工法研究会2(会長:松崎育弘 東京理科大学名誉教授)によって開発され、平成22年11月に日本建築防災協会より技術評価(建防災発第2669号)を取得しています。今後は、「住まいながら」などの特長を活かした上で、外壁などの改修工事におけるサブシステム役を担う工法として、関係物件へ適用を推進する予定です。

※2 正会員:鴻池組、鴻池ビルテクノを含む12社から構成

 

  (技術研究所 村上 秀夫 

 

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468号(2013年01月01日)