放射性セシウム汚染土壌の洗浄による減容化

概要

福島第一原子力発電所事故に伴い生じた放射性セシウムによる汚染の除去(除染)が本格化しようとしています。
除染に伴い発生する土壌や廃棄物は、中間貯蔵施設等で保管することになりますが、除去物をそのまま貯蔵するとなると膨大な量になるため、その減容化が求められます。
特に、土壌は量が多いため、効果的な減容化が模索されています。

 

土壌洗浄による減容化

当社は従来より、重金属等に汚染された土壌の浄化・減容化手法として、分級洗浄を主体とした土壌洗浄技術を保有し、利用してきました。
放射性セシウム汚染土壌に関して、その減容効果が期待できます。
放射性セシウムによる汚染の特徴として、要素試験の結果、以下の知見が得られました。

① 細粒分への付着が多いものの、レキや砂等への付着も多く、細粒分を除去しただけでは十分な浄化が難しいこと。
② 一旦、土壌に付着した放射性セシウムは、ほとんど水に溶出しないこと。
③ レキや砂等の表面を研磨することで、放射性セシウムの除去率が大幅に向上すること。

これらを踏まえ、当社の土壌洗浄技術を改良し、放射性セシウム汚染土壌に対応可能な土壌洗浄技術を新たに開発し、内閣府委託事業においてその効果を実施試験により確認しました。
写真-1、2に実証試験の設備と放射性セシウムを濃縮した脱水ケーキを示します。

従来の分級洗浄では、放射性セシウム濃度を、元の土の70%程度までしか低減できませんでしたが、新たに開発した研磨洗浄効果を併用した土壌洗浄技術では、90%の除去が可能となりました。
詳細については、平成24年度技術研究報告に掲載していますので、こちらをご覧下さい。 
 

 

  (土木事業本部 環境エンジニアリング部 中島卓夫 / 大山 将)

 

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467号(2012年10月01日)