エコスタイルを目指した環境配慮型集合住宅

アリュール横濱星川

東京本店 建築設計部
北峰 健一

 

はじめに

当工事の計画地は横浜市の中心部に位置し、相鉄線「星川」駅から徒歩3分の地にあります。旧くは東海道五十三次程ヶ谷宿として栄え、昔からゆったりとした街区が形成されてきた歴史ある街です。周辺には区役所などの官公庁が集中する地でありながら、帷子川の潤いや公園の緑の爽やかな風景も存在し、成熟した街へ生まれ変わった懐の深さがあります。
そのゆとりある街にふさわしい邸宅とするため、100戸規模にもかかわらず、オープンスペースの共用施設を多用した温かみのあるコミュニティ環境のレジデンスを計画しました。
また、生活のなかでできるさまざまな環境配慮対策を採用し、快適に暮らしながらエコに貢献できる「環境に優しいエコスタイルな住まい」を目指して設計しました。ここでは、その対策について紹介します(写真-1~4)。

 

 

 

環境配慮対策について

○次世代型オール電化
機能性と安全性と高い経済性も兼ね備えた次世代型のオール電化を採用しました。エコキュート、ヒートポンプ式床暖房の省エネ型給湯システム、IHクッキングヒーターに加え、太陽光発電や電気自動車用充電設備も採用したフルスペック型オール電化マンションを実現しています(図-1、2)。

○太陽光発電システム
太陽光電池(ソーラーパネル、10kW)は、バックコンタクト(裏面接続方式)の採用で太陽光を効率よく取り込み、発電を最大化させることでモジュール変換効率を高めています。発電された電力は主に共用部照明やコンセント負荷として利用されます。発電電力の「見える化」として、発電量、日射強度などをエントランスのモニターで表示し、居住者の関心を高めるように配慮しています(図-3、4)。

○LED照明
住戸内のダウンライトや一部を除く屋内外の共用部に低消費電力で長寿命のLED照明を採用しました。光熱費の削減だけでなく、CO2削減や省資源など、多くのメリットがあります。

○電気自動車用の充電アウトレット
敷地内に電気自動車用の充電アウトレットを設置しました。充電装置を機械駐車パレットに設置し、駐車している夜間などの時間を有効に利用して充電することが可能となっています。

○IHクッキングヒーター
キッチンには余分な熱や水蒸気の発生を抑えたIHクッキングヒーターを採用しました。直火を使用しないため、キッチンからの排出空気にも燃焼ガスを含まず、CO2削減に寄与します。

○高い断熱性
建物外部の環境に対して安定した室内温熱環境を実現するとともに、冷暖房効果を高め省エネルギーを実現するため、住宅性能表示における最高ランクの省エネ対策等級4の断熱仕様としています(図-5)。

○躯体のPC化による施工の合理化
スラブにはハーフPCa板を採用し、バルコニー先端部を工場塗装することでシャープな表現が可能となり、デザインと躯体品質向上の両立を図りました。これは型枠工事での木材使用量を低減し、工期の短縮に繋がっています(写真-5)。
 

○屋上緑化
ガラスで覆われたメゾネットのコミュニティプラザに、キッズコーナーやライブラリーを設置しました。2層吹き抜けのガーデンテラスには屋上緑化を採用して、居住者の憩いの場を演出しています(図-6、写真-6)。

○ディスポーザー
各住戸で生ごみ処理を行うことで、ごみの排出量を低減し、環境への配慮を図っています。処理槽などの設備は機械駐車場車路下のピットに設置することにより、省スペース化を図りました。

 

CASBEEのAランク取得

多数の環境配慮対策を講じたことにより、横浜市が定める建築物環境配慮制度(CASBEE横浜)において、高基準のAランクを取得することができました(図-7)。
 

 

おわりに

昨今のエネルギー問題や地球温暖化などの危機感から、エコロジーに対する関心は高まる一方です。住環境においてもエコを取り入れた、環境に配慮された住宅が意識されるようになり、快適な生活を送りながらでもエコに貢献できることが求められる時代となっています。これからも住宅における、進化するエコを実現していきたいと考えています。

 

工事概要
工事名称 アリュール横濱星川
工事場所 神奈川県横浜市保土ヶ谷区川辺町2-4
発注 NREG東芝不動産(株)

デザイン監修

(株)宮川憲司建築事務所
設計・監理 (株)鴻池組
施工 (株)鴻池組
工期 平成22年10月~平成24年5月
工事内容

RC造
地上10階
塔屋1階
建築面積 1,739.59m
延床面積 11,913.62m

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466号(2012年07月01日)