「BIM」による建築生産の革新

BIMとは

BIM(Building Information Modeling)とは、三次元CADによりコンピュータの中に仮想的に建物を作成し、形状情報に加えて室名や仕上げ、性能、コスト情報など、建物のさまざまな属性情報を持つ建物情報モデルを構築することをいいます。この建物情報モデルを「BIMモデル」と呼びます。
BIMモデルは、建築生産のあらゆる段階で、必要な情報を付加でき、取り出すことができるデータベースとなります。

BIMのメリット

1) 可視化(ビジュアライゼーション)
可視化はBIMの導入による最も大きなメリットです。設計の透明性や説得性が高まることで、関係者間の意思決定を迅速化し、プロジェクトをスムーズに進められます。

 2) 図面間の整合性確保
整合性確保により、設計および施工段階での検討が効率よく行なえます。また、設計から施工まで連続してBIMモデルを利用することで、手戻りやミスが減り、建築物の品質が向上します。

 3) 建物情報の統合化
BIMは建設プロセスを変えるイノベーションと言われています。設計、積算、見積、施工計画・管理の各段階において、従来のシーケンス型(順序・順番型)からコンカレント型(同時並行型)のプロセスに変わります。また、設計・施工を通じて構築されたBIMモデルは、維持管理段階での活用へと展開されます。

 

当社の取り組み

当社では2012年度(2011.10~2012.9)からBIM推進3カ年計画に取り組んでいます。この計画では2013年度上期着工案件で施工段階までのBIM化実現を目指しており、設計と工務部門が一体となってBIMの推進・検証を進めています。主な取り組み内容は以下の通りです。
①設計内容の可視化: 設計の透明性や説得性の向上、関係者間における意思決定の迅速化
②建物情報の整合性確保: BIMモデルの作成による問題点の事前把握、図面間の整合性確保や建物品質の向上
③建設コストのタイムリーな把握: BIMモデルの構築により、設計と同時に数量を算出しコスト変動を把握
④建物情報の統合化・品質確保の実現: 躯体と設備の干渉確認、詳細なディテールの確認、施工シミュレーションに基づく施工計画など、品質不具合を防止する設計施工プロセスを構築

 

今後の展望

BIMは「建設プロセスを変える新しい取り組み」であると理解する人が増えています。BIMモデルを使い、プロジェクトの初期段階から建物情報を共有、活用することによって、事前のリスク回避やコスト把握などへの展開が期待されています。BIMによる建築生産の革新は緒についたところではありますが、そのスピードが速まることも予想されます。


(建築事業本部 建築設計管理部 内田公平)

 

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464号(2012年01月01日)