大断面アーチカルバートの施工

新名神高速道路

大阪本店 工事事務所 深尾 泰一
/ 長沼 諭

はじめに

新名神高速道路(第二名神高速道路から名称変更)は愛知県名古屋市~兵庫県神戸市に至る延長約174kmの高速自動車国道です。
当工事は新名神高速道路の内、甲南インター・パーキングを含む延長820mの施工を担当しており、今回、新名神高速道路を横断する林道の機能回復道路としてアウトセントル先行型工法による大断面アーチカルバートの施工を行い、工程を短縮することができましたので紹介します(写真-1、2、3)。

施工概要

カルバートの型式選定にあたっては、内空断面の大きさ、基礎地盤の状況、施工性および経済性を考慮します。当工事で施工を行ったカルバートは、最大土被り厚16.5m、内空幅6.83m、内空高8.0mと大断面であるため応力分散を考慮した馬蹄形アーチの型式が採用されました。
縦断図(図-1)および標準断面図(図-2)を下記に示します。

アーチカルバートの施工に伴う技術的な課題

当工事においては、アーチカルバート施工個所が計画土運搬経路に位置しており、盛土工事を円滑に進めるためには、アーチカルバートの施工期間を短縮して、早期に土運搬経路を確保し、アーチカルバート部の盛土を行う必要がありました。

上記課題に対する対策と結果

アーチカルバートの施工方法には、従来型工法に比べて工程短縮の可能なアウトセントル先行型工法(写真-4、5)を採用しました。
アウトセントル先行型工法と従来型工法との大きな違いは、コンクリートの養生中(インセントルセット中)に次のブロックの鉄筋組立作業を行うことができることです。
アウトセントル先行型工法と従来型工法を比較すると1ブロック当り6日間の工程短縮が可能となり、13ブロック全体で78日間の工程を短縮することができました。
アウトセントル先行型工法の手順を図-3に示します。

おわりに

今回、アーチカルバート工の工程を短縮することで、安全で円滑な土運搬経路を確保し本体工事である盛土工を早期に完了することができました。また、今回と同様の制限がある場合には有効な工法であり、この事例が今後の参考になれば幸いです。

工事概要
工事名称 第二名神高速道路 甲南工事
工事場所 滋賀県甲賀市甲南町新治~甲南町杉谷
発注 西日本高速道路株式会社 関西支社
施工 (株)鴻池組・徳倉建設(株) 共同企業体
工期 平成16年7月~平成19年8月
工事内容

工事延長820m(土工部682m、橋梁部138m)、

土工量2,218,000m3

カルバート工:アーチカルバート156m

橋梁下部工:橋脚8基、橋台8基

地盤改良工:28,200 m3

補強土壁工:3,845m2

県道整備工:1式、付替河川工:1式

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435号(2007年10月01日)