3Dレーザースキャナー測量

TECH NOTE

現場での測量に、3Dトータルステーションなど光波測距儀を使用することは珍しくなくなってきましたが、ここでは最近脚光を浴び始めている3Dレーザースキャナー測量について紹介します。

技術の概要

3Dレーザースキャナーは、人体には無害なレーザーを、本体を中心とした放射状に照射し、対象物との間をレーザーパルスが往復する時間を計測することで距 離を計測し、併せて照射した方向を計測することで、対象の三次元座標を点群データとして得るものです。光波測距儀と異なり、反射ターゲットを必要としません。ここ数年の技術進歩により、より高性能な機械が以前より安く入手できるようになったため、実用化段階に入り、採用事例が増えつつあります。機種により 測量距離(最大数千m)、測点数(最大数億点)、測量時間(最速数万点/秒)などスペックが大きく異なるため、目的に応じた機種の選定が重要です。

技術の特徴と課題

スキャナー本体とその処理ソフトにより、次のような特長を有します。

  1. 短時間に高精度で大量のデータを取得できる。
  2. 座標データと写真データを統合できる(色情報を付加できる)。
  3. 点群データをCADデータとして活用できる。
  4. データ合成により、より広範囲や構造物全周にわたる三次元モデル化ができる。
  5. 点群としてデータを得ることで、面的な情報が得られる。
  6. ノンプリズム式であるため、危険地など人の立ち入りが困難な場所を対象とした計測ができる。

一方、取り扱うデータ量が多い、反射が弱い(対象が黒っぽい)あるいは強すぎる(湧水などで鏡状となっている)ような場合データを得にくい、植生など動きの有るものはノイズとなりやすい、離れるほど測点密度が粗になる、などの課題があり、運用時に留意する必要があります。

活用方法と事例

目的にあった機種を使用することで、次のような活用が期待できます。

  1. 広範囲の地形を測量し断面図等を作成する。
  2. 設計図面がない構造物や建物を図面化する。
  3. 構造物の竣工時等に現況図を作成し、維持管理等に活用する。
  4. 斜面等の形状を測量することで、防災管理に活用する。
  5. 遺跡、遺構や文化財などを三次元モデルとしてデータ化し後世に残す。
  6. 路面の沈下や構造物の変形など、施工時等に面的に変位を計測・管理する。
  7. 山岳トンネルの支保工等平滑でない仕上がり面の出来形を管理する。

(問い合わせ先) 土木本部統括部 富澤直樹 Tel.06(6343)3448

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435号(2007年10月01日)